三つ子の魂百まで
今週のお題「一番古い記憶」
退屈なのでお題で茶を濁すとする。
一番古い記憶というわけで、僕の一番古い記憶を語ろう。
僕の24年というまだまだ短い人生を語る上で避けては通れない出来事がひとつある。それは僕がまだ3歳の頃の話。
当時の僕は金沢に住んでおり、ちょうど弟が産まれたばかりであった。そして僕は幼稚園ではなく「ぴよちゃんクラブ」なる未就園児教室というところに通っていた。というのも親の仕事の都合により転勤が決まっていたため幼稚園へはあえて入れなかったのだろう。
当時の生活などはよく覚えてないが、母親から話を聞くにはその時の僕はトミカが好きだったらしい。特にギミックのあるタイプのやつ。よくデパートに行くと毎回のようにトミカをねだっては駄々をこねていたそうだ。いやはや全く。
そんなある日、いつものようにトミカをねだっていたのだが、その時欲しかったものがセット物だったらしくいつもより値が張るものだった。
さすがにそれは買えないと怒る母親に対して僕はひっくり返るほど駄々をこねたそうで、それはとても大変だったと聞いた。(当の本人は全く記憶にない)
記憶に残る出来事は翌日に起こった。
朝起きて、寝巻きのまま姉の長靴を履いて家を出たのである。
もちろん目的はトミカを買うこと。買うお金はどうすんだというツッコミは3歳児だから許してほしい。
(それよりも姉の長靴を履いてというところが我ながらに悪知恵が働いているなぁと思った。)
そして、家の前のバス停からバスに乗り、デパートへ向かおうとしたのであった。しかし寝巻き姿の子供が乗ってきて誰も不思議に思わなかったのだろうか。
なぜかデパートへの最寄り停留所を覚えていた僕は人ごみに紛れて降りようとすると、ついに運転手に止められてしまった。呼び止められた時の記憶が断片的に残っている。
僕は運転手によって警察へ保護され、その頃家では僕がどこにもいないと大騒ぎになっていたそうだ。当時は社宅に住んでいたので社宅中に騒ぎが広まり、一躍有名人となった。たぶん伝説として語り継がれているであろう。
警察のお世話となっていた僕はというと、憧れのパトカーに乗せてもらいすごく喜んでいた。騒ぎを起こした張本人は呑気なものである。……これも前科一犯にカウントした方がいいのだろうか。
騒ぎが解決するきっかけは警察官にどこから来たのかと尋ねられたことからだった。
地図を広げて警察官が尋ねると、僕は姉の通っていた幼稚園を指差したらしい。3歳児にして漢字が読めるという天才エピソードが僕にはあった。
そこから警察官が幼稚園に連絡し、幼稚園から家へ連絡がいって僕の大冒険は終わった。
心配しながら迎えに来た親に警察官が「すごく楽しそうにしていましたよ」と。
なお、目的のトミカは無事に買ってもらうことができた。
これが僕の一番古い記憶である。